文化部情報板

メリーさんの羊  |


机上の鉄道模型の動きと俳優の演じる芝居が重なりあう」とは

 机上の鉄道模型と人形たちの役割に気が付いたので、整理してみた。

Q1.メリーさんとトム坊やの人形はどこにあったか
A1.老人の鉄道員の制服のポケットの中

 毎晩、老人はメリーさんとトム坊やの人形を、制服のポケットに大事に入れてから眠っているのだろう。

Q2.スミス氏の人形はどこにあったか
A2.砂糖壺の中。砂糖(土)で埋葬されていた

 鉄道事故で亡くなったスミス氏は、砂糖壺の中に埋葬されたのである。メリーさんとトム坊やとは、別の世界にいるのである。

Q3..なぜスミス氏の人形は砂糖壺に埋葬されていたのか
A3.老人が医者から糖分を控えるよう言われていたから

 恋敵でもあったスミス氏を砂糖壺の中に埋めておけば、医者から注意されている砂糖壺に手を出さないだろうと老人は考えたのである。

Q4.なぜスミス氏のトランクは見つからないのか
A4.一緒に埋葬されなかったから。青年(トム坊や)が形見として持っているから

 トランクはスミス氏と一緒に埋葬されなかったので、砂糖壺の中にはなかった。
(老人と青年はお互いにそのことを知っていながら、トランクを探すふりをしているはずなのだが・・・)

Q5.家の中にサム・ブラウン氏の人形が1人で
いた意味は
A5.彼がメリーさんの再婚相手としての条件を備えていたことを暗示している。

 彼は当時独身であり、家に1人で住んでおり、結婚にあたっての障害はなかったことを示している。

Q6.なぜ老人が「止まれ」というと、鉄道模型は止まるのか
A6.鉄道事故のときに老人は「止まれ」と叫んだが、列車は止まらなかったから。

 現実には止まらない列車。だからこそ現実から離れれば、「止まれ」と言えば止まる列車が老人には必要だった。

Q7.では、なぜ鉄道模型は勝手に動き出すのか
A7.老人が「止まれ」と言ったときに「止まる」ためには、動いていないと不可能だから。

 観客からすると、「止まれ」と言われて「止まる」のは自然である。むしろ勝手に動き出すほうが不自然で、その理由を探りたくなる。つまり、観客は作者が伝えたいこと(「止まれ」というと止まる列車)とは反対の方向に関心が向いてしまう。ところが、そもそも列車が動き出すタイミングとか、動き出す理由などは、存在しないため、観客は全く無駄なことに関心を注ぐことになる。そのため作者の伝えたい意図を計りかねる結果となる。
 つまり、観客にとっても作者にとってもいいことは何もないので、うまく避ける工夫をすべきだろう。

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